鉢
一人暮らしにしてはやや広いアパートの部屋の中 起きた私は眼鏡をかけながらベッドを降りて水の入ったペットボトルを手にとる
小さな白いテーブルの上には沢山の鉢植えが並び、色とりどりの花が咲いている
水をやらねばと近付いてよく見てみると、その中のいくつかは造花だった
なにも考えずに生花の鉢植えにだけ水を注ぐ
満足して顔を上げると、部屋がおかしいことに気付いた
部屋にあるはずのテレビや棚の上の人形などがなくなって、代わりにこれでもかと鉢植えが並んでいる
テレビ台の上の鉢植えは殆どが生花だったが、その中のいくつかは枯れて茶色くなっていた
不思議に思いながらもまた全ての鉢に水をやる 次に棚の上の鉢を見る
こちらは造花の鉢か枯れた鉢しかなかった
何故か無性に悲しくなって、何かにごめんねと謝った